PENs Note

心理学と小説と。

印象形成と結果依存性 〜評価される努力〜


「報われない頑張りを、評価される努力へ」

 

「みんなと同じ努力をしていても、周りに認めてもらえない」

そんなあなたに、前回「印象形成の過程」について紹介させていただきました。

そして今回紹介するのは、その続きのお話し。

「印象形成の過程」は理解したけど、それと「評価を上げる方法」に何の関係があるの?

そう感じている方も、この続きを読めば糸口が見えてくるかも知れません。

誰かに教えたくなるような、ワクワクする心理学の世界。今日も一緒にのぞいてみましょう。

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前回のおさらい

まず、軽く前回のおさらいをしてみますね。
「前回の内容はバッチリ覚えてるよ」って人は、「今日の内容」から読んでいただければOKです。

 

印象形成とは「相手がどんな性格・能力かを判断すること」
印象形成には2つの過程があると言われています。

①カテゴリー依存処理による印象形成
 −「相手のカテゴリー(種類)から印象を作る」というもの
 − ここでのカテゴリーとは性別や年齢など、外見から読み取れるものが多い
 − 思い込み・偏見・ステレオタイプなんかもこっち

 

②個別化による印象形成
 −「相手独自の性質を検討し、それらを統合して印象を作る」
 − 独自の性質とは、相手の内面を知っている必要がある性質

(もっと詳しく知りたい方は、一つ前の記事をご覧ください)

imce.hatenablog.com

 

印象形成には、「カテゴリー依存処理」と「個別化」の2つの過程がありました。
では、僕たちはこの2つの過程を、どのように使い分けているのでしょうか。
今日はそんなお話からはじまります。

 

 

今日の内容

①「連続体モデル」で印象形成の流れを理解する

印象形成の過程を理解する上で、2つの過程をどのように使い分けているかを示した連続体モデルというものがあります。

説明よりも、まず実際に見てみましょう。

「最初は怖い人だと思ってたけど、話してみたら優しい人だった」
みたいなことありますよね。

これを印象形成の過程として見てみると、
①最初は怖い人だと思ってたけど = カテゴリー依存処理による印象形成
②話してみたら優しい人だった = 個別化による印象形成
と捉えることができます。

このときの印象形成の過程(①→②)が「連続体モデル」です。

「連続体モデル」で重要なのは、
まず「カテゴリー依存処理による印象形成が行われる」こと
そして相手の人物に関心があったり、自分に関連した人物であったりすると「個別化による印象形成」に進んでいくことです。

(確かに、自分に関係のない人たちのことは、あまり深く知ろうとしないですもんね。笑)

 

 

②「結果依存性」とは?

次に、結果依存性について見てみましょう。
結果依存性とは、「自分が何らかの形で他者の行為に影響を受ける状態」のことです。
(もちろん、自分と他者が入れ替わってもOKです。)
つまり、「他人の頑張りが自分の結果を左右するかどうか」ということですね。

他人の頑張りが自分の結果にあまり影響しない場合「結果依存性が低い」
一方、他人の頑張りが自分の結果に大きく影響する場合「結果依存性が高い」
といいます。

例えば、職場で自分だけの仕事(上司と関係ない仕事)をしている場合は、上司への結果依存性が低い状況。
上司と一緒に同じ作業している場合は、上司への結果依存性が高い状況です。

 

 

③印象形成と結果依存性

ではいよいよ、印象形成についての最終ステップ、印象形成と結果依存性の関係について見ていきましょう。
結果依存性によって、印象形成の過程が次のように変化します。

結果依存性が低い状況
 対象人物を正確に判断する必要はないので、カテゴリー依存処理による印象形成が行われる

結果依存性が高い状況
 対象人物の属性に注意が向けられ、個別化による印象形成が行われる

例えば、同僚と一緒に仕事をする状況(結果依存性が高い状況)では、
同僚の仕事ぶりが、自分の仕事の結果に直結します。
このような状況では、同僚がどんな人なのか(どれくらい仕事ができる人なのか、集中力はどれくらい持つのかなど)をしっかり見極めたいですよね。
この「他人のことをしっかり見極める」行為こそ「個別化による印象形成」です。

つまり、「人は結果依存性が高い状況なら、思い込みや偏見ではなく、他人のことを正確に判断しようとする」ということですね。

 

 

まとめ

結果依存性が高い状況では、外見や思い込みによる影響を受けにくく、個別化による印象形成が行われる
(上司・先輩からきちんと評価して欲しいときは、上司と同じ仕事をしよう)

 

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今回は「印象形成と結果依存性」について紹介させていただきました。

一度にたくさんのことを解説させていただいたので、理解が追いつかないところもあるかもしれません。

知りたいこと、わからないことあればいつでもコメントしてください。

 

では、心理学が少しでもあなたの手助けになることを願っています!

あなたの努力が評価されますように。

 

 

参考文献
よくわかる社会心理学山田一成・北村英哉・結城雅樹) ミネルヴァ書房